似顔絵は、場所・表情・ファッションなど、その瞬間に醸し出る雰囲気を強調したりデフォルメしたりして、個人の時代を保存できるものだと思います。
写真ともまた違った面白さがあります。
平井さんの絵は、その版画のようなタッチも相まって、しっかりとその一瞬を彫りあげて克明に記したような強さがあります。
数年経ったときにその似顔絵の表情から、当時を思い返すことができるような気がします。
たしかにこの着ているシャツは、今年からはじめて着出した「ノーカラーシャツ」。しっかりとその一瞬は保存されています。
「目元が特徴的だったので強調しました」とのことでしたが、適度な疲れ感もたしかに小野ですね。
数年前にポートフォリオを送ってくださった平井さん。
その絵を見たときにその強さもさることながら、描かれたモチーフの背景にある物語を感じて、一つのカットを見る時間が長くなります。
私たちデザイン事務所では、たくさんのポートフォリオを拝見する機会も多いのですが、とても光って感じて、常にお仕事をご一緒できる機会を狙っています。
関西での活動も広げて欲しいので、デザイナーさんにはぜひコンタクトをとってほしい作家さんのひとりです。
イラストレーター
平井利和
Toshikazu Hirai
2006年東京造形大学視覚伝達学科卒業。広告代理店で主に販売促進に7年携わり、その後イラストレーターに転身。HB塾1期受講、唐仁原教久氏に師事。
イラストレーションを担当した伊藤忠商事株式会社の新聞広告は2016年度ADC賞に入選。
その他、ザ・チョイス年度賞/優秀賞、HBファイルコンペ藤枝リュウジ大賞など。
広告、書籍、雑誌を中心にポートレート、モノタイプ、ドローイングを提供している。